Rhinoの精度について

多くのフリーフォームモデラーは、製造や技術解析のための精度が十分でありません。Rhinoもフリーフォームモデラーであるため、同じではないかと思われている方が多くおられます。

しかし実際は、RhinoはほとんどのCADと同じまたはそれ以上の精度を備えています

詳細:

3Dモデルをコンピュータに格納するには、一般的に2つの方法があります。

  1. 1つ目は、通常レンダリング、アニメーション、コンセプチュアルデザイン(概念設計)で用いられるメッシュ(フェース(面)またはファセットとも呼ばれる)を使用する方法です。メッシュモデラーは、球、ボックス、スプライン、NURBSに至るまで作成できるような高い精度があるように思われますが、実際はモデルを最終的にメッシュに変換しています。メッシュは、単に平らな三角形の集まりなので、本質的に正確ではありません。サーフェスが曲がっていたとしても、メッシュモデラーはそれを平らな三角形を用いて表現します。これは、ほとんどのレンダリング、アニメーション、ゲームでは問題ではありませんが、製造のためのデザインの場合、よい方法ではありません。多くの製造過程では、メッシュは実際使われます。Rhinoはモデリングにメッシュは使用しませんが、ファイルのエクスポートやレンダリングのために、自由に密度を設定してNURBSをメッシュに変換することができます。

  2. 2つ目の方法は NURBS です。Rhinoを含むほとんどのCAD、CAM、CAE、CAIDモデラーはフリーフォーム形状をNURBSで表します。NURBSの実装を忠実に行っている製品は、最も要求の高い製造過程に十分なフリーフォーム形状を正確に表現する可能性があります。アプリケーションの主な焦点が機械設計でフリーフォーム形状でない場合、NURBSの実装が要求の高いフリーフォームモデリングに対して十分でないことがあります。現在人気のあるミッドレンジのフィーチャベースのパラメトリックソリッドモデラーがその典型的な例です。

Rhinoの焦点はフリーフォームのNURBSモデリングなので、そのNURBSの実装は現在あるソフトウェアの中で最も信頼できるもののひとつとなっています。下に挙げるのは、モデラーが製造過程に十分な精度があるかどうかを評価する際に主に考慮する点です。

  • 位置: 多くのCAD製品と同じくRhinoは位置を倍精度浮動小数点数で表します。これは、どのような点のx、y、またはz座標でも最大±10308から最小±10-308までの範囲の値を持つことができることを意味します。 現在のコンピュータ技術の制限のため、計算は±1020から±10-20までの範囲で有効桁数15までの正確さになります。この制限は現在のすべてのCAD製品にあります。

    古いCAD製品は、元々現在ほどの精度がないコンピュータで実行されるように開発されたため、より多くの制限があることがあります。例えば、多くのCADモデラーは原点に中心がある1000x1000x1000メートルのサイズの直方体の中に制限されたジオメトリで計算を行うように設計されています。Rhinoにはこれらの古い製品に見られるような制限は一切ありません。

  • 交差: Rhinoでは、2つのフリーフォームサーフェスが交差する際、それらの交差曲線は指定の精度まで計算されます。Rhinoのデフォルトの精度(許容差)は1/100ミリメートルです。多くのCADシステムはオーバーライドできないビルトインの許容差を使用しています。

    他のモデラーがフリーフォームサーフェスの交差、フリーフォームのフィレット作成、フリーフォームサーフェスのオフセットから作成するジオメトリを注意深く見てみると、そのフリーフォームジオメトリは精度が10-8(単位がメートルだと書かずに)だと宣伝されているにも関わらず、実際は10-2と10-4メートルの間の精度で計算されているのが分かります。

  • 曲率(シームを超えて曲率変更を合わせる): ほとんどのCAD製品は、曲率を合わせるツールすら備えておらず、目の肥えたデザイナーの方には十分ではありません。製造過程に、翼型(エアフォイル)、水中翼(ハイドロフォイル)、レンズ、反射面などの滑らかなフリーフォームのサーフェスが必要な場合、Rhino、またはCATIAやAliasなどのハイエンドのサーフェスモデリング製品のみに備わっているこれらを作成、編集するツールが必要になります。

その他に考慮すること:

  • 単位: Rhinoでは単位を指定できます。単位は実際に変更され、すべての計算はそれらの単位で行われます。多くのCAD製品では、単位は単なる表示属性です。ミリメートルを指定したとしても、すべての計算は実際はメートルで行われます。たいしたことではない。小数点を動かせばいいのではないかと思われるかもしれません。そうではないのです。続きを読んでみてください。

  • 単位の変更: 単位の変換は、CAD/CAMで見落とされやすい精度の問題のひとつです。私達の多くは、ヤード・ポンド法からメートル法への変換では不正確が生じる可能性があると考えますが、ミリメートルからセンチメートルへの変換については考えてもみません。どうしてでしょう?それは、私達は十進法で考えるからです。しかし考えてみてください。コンピュータは十進法ではなく、二進法が用いられています。それは、1つまたは複数の浮動小数点の乗算や除算がミリメートルからセンチメートルに変換するのに必要だということを意味します。ミリメートルからセンチメートルへの変換の際に生じる不正確性は、ミリメートルからインチへの変換の際に生じる不正確性と同じなのです。

要約すると、Rhinoの精度は少なくとも現在市場に出回っているどのようなCAD製品とも同じであるということです。加えて、Rhinoには精度と単位を設定するツール、そしてほとんどのCAD製品にはない連続性のコントロールや評価をするツールが備わっています。